2020年05月21日 午前2時31分、種子島宇宙センターから最後のH-IIBロケット(H-IIB F9)とペイロードのISS補給船HTV「こうのとり」(HTV-9)が打ち上げられました。
私のいる高知県は海岸に行けばすぐそこが太平洋であり、海の向こうには何もなく月が無ければ海は真っ暗闇。そんな場所なので、内之浦や種子島から深夜にロケットが打ち上げられることがあれば、条件が良ければここからも見えるのです。
今回の打ち上げは午前2時半、SCWで見るとその時間はちょうど雲がなくなる時間。見に行くしかありませんでした。
海岸の展望台に登ってみると月は出ておらず、北風が強いためか大気も澄んでいて、超が3つ付きそうなほどの好条件でした。その証拠に天の川がいつにも増して良く見える。
撮影場所に着いた時点で打ち上げまで30分もなく、割れていて画面の半分が見えないカメラ*1で構図と露出設定、タイムラプスの設定をしなければならずたいへん焦るもなんとか8分前に撮影開始。割れた画面のせいでちゃんと撮れてるかわからず、撮っている間も気が気じゃありませんでしたが、もう走らせてしまったので撮り終わるまでは触れない。あとは風からカメラを守りつつ、スマホで生中継のカウントダウンを聴きながら、ロケットを目に焼き付けるべく水平線を一生懸命探しました。
午前2時31分、打上時間ちょうどになっても空に変化がなく焦りましたが(どうやら当時の種子島周辺は雲がかかっていた様子)、数秒後には南西の水平線近くが赤く色づき始め、更に数秒後には、ロケットが吐き出す噴煙が燃焼炎に照らされる様子が、時間方向に解像度の高いリアルタイムの映像として430km離れた場所からでもはっきりと見えました。写真ではその情報が失われてしまうことが残念…。
H-IIBとHTVの最後の打ち上げ、H-IIBの100%成功の瞬間を、遠くからとはいえこのような恵まれた条件で見届けることができたことがとても嬉しかったです。
写真には、固体ロケットブースター(SRB)が分離後に本体とは違う軌道を描く様子らしきものも写っていました。回転していたのか点滅している様子。

またタイムラプスをよく見てみると、ロケットが画面左下を通り過ぎて見切れた直後、ロケットの軌跡に沿うように赤色の雲のようなものが現れているようにみえます。
左ポール奥のロケット軌道付近にぼんやりと赤色発光があるように見える
似た現象は2012年5月18日に打ち上げられたH-IIA F21などでも観測されていたようです。
H-IIA 21号機発射時の空の赤色発光現象について – Togetter
H-IIA F21とは同じ5月中頃で、1年の中での時期が近いことも気になりますが季節の関連性は不明です。また今回は、前回のように他の観測例が話題に上がっている様子がないので、もしかしたらただのノイズのムラなのかもしれません。
SS-520-23等の宇宙花火(上空にリチウム等を撒くことで生じる発光雲)と同じ現象と表現されることが多いですが、宇宙花火は上空にのみ太陽光が当たる条件でリチウムが太陽光によって共鳴散乱発光することで光っており、同じ励起発光でもオーロラとは発光のトリガーとなる要素が大きく異なっていると考えています。
H-IIAロケットに起因する赤色発光は酸素の630 nmの光の可能性が高いとされているようですが、酸素自体は大気中にありふれており、普段安定しているものがロケットが通過する程度でこのような大規模な発光現象を起こすのであれば、過去にもっと多数の観測例があっても良いように思います。しかし、過去に議論がなされていた様子もあまりなさそうなので不思議です。
(素人の感覚的な意見です)
おまけ
今は写真よりも見える範囲が更に狭まっている




